耐性のあるパイプ
日頃私たちが何気なく使っている製品の中に、思いもよらない高度な技術が使われていることがあります。
たとえば、普段あまり目にすることはないかもしれませんが、ガス管や水道管などに使われているアルミパイプがあります。
アルミパイプといったって、言ってしまえばアルミでできた太いストローのようなものでしょう?と思うかもしれませんね。
確かに形状としては、棒の中が空洞になっているパイプというのは、ストローのようなものといえるでしょう。
しかし、ガス管や水道管などのパーツとしてアルミパイプを使用する場合、そのパイプはガスや水の強い圧力に耐えうるものでなければなりません。
現実にはほぼあり得ませんが、仮にストローで細いガス管や水道管を作ったとしても、その管はとても日常的な使用に耐えられるものとはならないでしょう。
押出管と引き抜き管
ガス管や水道管として使用されるアルミパイプは、アルミを型に入れて作ったアルミ型材のなかでももっとも耐性・剛性に優れたものが使われていなければなりません。
そのためには、まずアルミパイプが継ぎ目のない「アルミシームレス管」である必要があります。
一般的なアルミパイプは、押出管といって、アルミ材をところてんのように型から押し出し成形をして作られるのですが、アルミシームレス管の場合は抽伸機と呼ばれる専用の機械を使ってアルミ素材(たいていの場合、すでに成形された押出材を使用)を狭い穴から引き抜いて成形します。
押出し成形の場合は、もととなるアルミ材を加熱した状態で押出し加工しますが、引き抜き成型の場合は加熱することなく強烈な力でもってアルミ材を引き抜くことにより成形します。
引き抜き成型によって作られたアルミ型材は、熱が加わっていないことにより温度変化による寸法の狂いがなく、高精度のアルミ管として使用することができます。
ガス管や水道管の耐性基準に見合うようなアルミ型材を探す場合には、高精度で作られるアルミシームレス管の利用が最適なのです。